弁護士

業務委託契約

業務委託契約の条項の落とし穴

外注等取引の際、「●●業務委託契約書」が利用されますが、大事な点が欠落しているケースがありますので、そのいくつかをお伝えします。

1.委託業務の内容の仕様が不特定

第1条「目的」などで「●●」のためなど記述がありますが、具体的に依頼する業務の詳細があいまい不明確なケースです。委託者(=発注者)としては、このくらいしてもらえて当然と思っていても、具体的な記述がないと、受託者(=受注する側)に齟齬が生じてしまいますので、できるだけ具体的に記述するようにしましょう。なお、私が作る場合には、別紙で「仕様書」として明記しています。

2.報告・説明義務に関する定め  

委託契約の性質上、受託者には事務処理の報告義務や善管注意義務という義務があります。そのため、報告・説明義務の明記がなくても、それがなくなるわけではありません。しかし、委託者として、いつ、どのような方法で、どのような資料をもって報告・説明してもらうようにするかについては、具体的な定めがないと、応じてもらえない場合があります。  

例えば、書面によるのか、口頭によるのか、データの送付・開示によるのか、面談なのか、また、委託者  からの連絡後〇時間以内とするのかなど、規定があるのとないのとでは異なります。

3.契約期間・解約について  

委託契約は、民法が定める典型契約の一つとなりますので、契約期間中の解約も原則可能となります。しかし、解約されたら困る場合には、契約期間中の解約の取り扱いについて、当事者間で協議し、取り扱いを明確に定めておかないと、急な解約で困る場合があります。

業務委託契約の留意点

続いて、「●●業務委託契約書」の留意すべき点として、
①知的財産権の帰属、
②受託者の禁止事項、
③秘密保持義務
についてお話します。

あなたが使用している契約書には、「知的財産権の帰属」の定めはありますか?知的財産権は、委託する業務内容によって発生する場合があります。委託者としては、委託料を支払ってるからと、発生した知的財産権は当然に帰属すると考えがちですが、当然にはそのようにはなりません。委託業務の遂行と知的財産権の帰属は別になることに注意が必要です。

次に、「受託者の禁止事項」についてです。業務委託遂行の責任は原則受託者となりますが、成果報酬型の営業代行などの場合、成果報酬を高く得ようとして、受託者が誇大・過大な勧誘、判断能力が減退した高齢者への執拗な勧誘をするおそれがあります。そのため、委託者としての、コンプライアンスの観点から、受託者が守るべき事項を定めておくことが有益です。

最後に、「秘密保持義務」についてです。委託取引では、委託者の営業秘密情報を受託者に提供することが多くありますが、その取扱い者の範囲、漏洩しないための措置、漏洩した場合の措置、取引終了後の秘密保持期間など、どのようにしていますか?

ぜひ、あなたの会社の業務委託契約書のアップデートに反映してみてください。もし難しければお気軽にお問い合わせください。

(田鍋/編集 中路)


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